為替の動向(6/19)

<日本>

日銀は 金融政策決定会合において「短期金利を マイナス 0.1%、長期金利を0% 程度 (0.50%が上限) に誘導する 金融緩和策の現状維持」を決めた。

 k230616a.pdf (boj.or.jp)

 個人的には、早ければ7月27-28日の会合で「YCCが修正される」可能性が高まった、4月から状況が変わった と感じた。理由は 次の通り。

  • データ次第であるが、FRBは23年末までに「0.25%×2回」利上げするシナリオを示した。
  • ECBは「0.25 %」の利上げを決定し、7月も 追加利上げする公算が極めて高い。
  • このままYCCを放置すると、米欧との金利差拡大を背景に更なる「円安」が進行し、国内のインフレを加速させる可能性がある。そもそも日銀のインフレ予想は低い! 23年 +1.8% 24年 +2.0% 25年 +1.6%   経済・物価情勢の展望(2023年4月) (boj.or.jp)  P.10  消費者物価指数 (除く生鮮食品) ご参照。
  • 7月には、新たな「展望レポート」が公表される。インフレ予想が修正される可能性あり。
  • 以前 、『日銀総裁も首相も、緩和の修正や 物価目標の見直しに強く反対する自民党保守派へ 配慮しているのか!? 』と書いたが、現在、早ければ  秋以降の 解散・総選挙が見込まれている。上記の様に「円安」の進行がインフレを加速させれば、それこそ 政治的リスク (家計・企業・金融機関への悪影響 ) になるのではないか。
  • 植田総裁からは『YCCについて、ある程度のサプライズ はやむを得ない (市場との丁寧な対話は心がける)』と、含みを持たせる発言もあった。

<米国> 

FOMC(13-14日開催)  FF 金利の誘導目標が「5.00~5.25%」で据え置かれた。

<Statement> Federal Reserve Board - Federal Reserve issues FOMC statement

  • 利上げを一時停止することで「委員会は 追加情報 や 金融政策への影響を見極められる」としている。
  • 5月FOMCの時 注目された ”In determining the extent of additional policy firming”「追加の政策引き締めが適切であるかを決める際 (表現が「利上げありき」でなくなった)」は維持された。 

<Summary of Economic Projections> The Fed - June 14, 2023: FOMC Projections materials, accessible version (federalreserve.gov)

実質GDP見通し(以下、第4四半期の中央値)

23年 0.4% ⇒ 1.0% 、24年 1.2% ⇒ 1.1%、25年 1.9% ⇒ 1.8%、前回 (以下、23年3月予想)から 其々 修正された。「失業率」「インフレ率」の修正からも、FRBが、特に23年のインフレ高止まりを警戒していることが読み取れる。

失業率見通し

23年 4.5% ⇒ 4.1%、24年 4.6% ⇒ 4.5%、25年 4.6% ⇒ 4.5%、全て改善する見込みで、更に労働需給はタイト化。

  インフレ率(Core PCE inflation)見通し

  23年3.6% ⇒ 3.9%、24年2.6% ⇒ 2.6%、25年2.1% ⇒ 2.2%。    

政策金利見通し(年末時点の中央値、小数点第一位まで表示)

23年5.1% ⇒ 5.6%、24年4.3% ⇒ 4.6%、25年3.1% ⇒ 3.4%、前回から全て上方修正された。年内あと2 回の利上げが見込まれており、ターミナルレートを「5.625%」とした。個人的には、次の通り解釈。

  • FRBは「市場で“早期利下げの織り込み”が進み、株価が急騰すること」 を恐れている。だから、一見  非常にタカ派的と受け止められるスタンスを示さざるを得ない。パウエル議長は会見で『5.625%は決まった計画ではない』と述べていた。
  • 7月以降の利上げは「未定」、今後発表される「データ次第」であろう。しかし『利上げはデータ次第』という表現には「7月以降の利上げ再開なし」も含まれる。 FRBは「景気にブレーキがかかり過ぎること」にも、細心の注意を払わなければならない。
  • 市場が期待してきた「年内利下げ」の可能性は後退した。   

 

作成日:2023/06/19
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Allears オールイヤーズ事務局で作成した記事です。