【投資について語るときの愛と追憶】何を買えばよい? by 黒猫投資家

「何を買えばよい?」

 不動産や株や投資信託をあれこれ長年やっていると、友人たちからこのような質問をうける。「この物件はどう思う?」という不動産の相談もある。

 私は、こういう質問に対して、誠心誠意、相手の収入や資産状況、健康状態、家族構成などを考慮して回答することにしている。相手の状況をよく知っているからこそ、リスク耐性、趣向、価値観などトータルにみて、的外れにならないアドバイスになると思っている。投資は、資産や収入の状況だけでなく、価値観とメンタルが案外重要なのである。本棚を見れば、その人の趣味や嗜好がわかるように、どんな株を買うのか、不動産を買うのか、これも個人の価値観や趣味を色濃く反映するものなのである。
 さて、最初の質問に対して、私がアドバイスするなら、次の二つの原則ははずせない。

  • 自分が詳しいものを買う
  • 余剰資金で買う

 投資対象は何であれ、自分が詳しい分野の株や不動産を買うのが基本である。

 例えば、多くの人にとって、不動産を買うのは自宅が最初の経験だろう。一生に一度となるかもしれない自宅の購入となれば、家族の利便性、近隣の雰囲気など、必死でリサーチのうえで、一大決心をして買うわけである。ならば、次に投資物件を買うときには、自宅の近くがターゲットである。自宅周辺にどんな人が住んでいるのか、家賃がいくらなのか、どんな物件が賃貸物件として需要があるのか、それをあなたは誰よりも詳しいはずだ。家の近くの不動産屋のチラシや広告を何年間も見続けていれば、絶対に「買い」と思う物件に出会う可能性が高い。あなたは遠隔地にいる投資家よりもかなり優位な立場にいる。

 私が保有する投資物件の区分所有マンションは、すべて自宅から徒歩又は自転車で行くことが可能な距離である。トラブルが起きれば自分で駆け付け、修理業者も自分で手配できる。今後、買い増すとしても、自宅から徒歩圏の物件を優先する。

 もし、自宅を買う予定はないが、不動産投資を始めたいというのであれば、自分が住んでいる近辺や職場の近くの投資物件を探せばよい。賃料水準も住人の属性も容易に調べられるだろう。また、自分がよく知っている友達や知人の住んでいる場所をターゲットにするという方法もある。頻繁に会っている人、訪問している場所という切り口でもよい。リアルな情報を仕入れて、候補物件を絞っていくのである。

 株式投資も同様である。

 私は、過去に金融機関と製薬会社に勤務していたことがあり、その勤務当時にはこれらの業種の株は買わなかったが、今は長期保有を目的に金融機関と製薬会社の株式を保有している。これらの業種は比較的高配当であり、また、つぶれる可能性は低い。それぞれの会社の文化や製品の内容など、勤務していた当時からも見聞していたこともあり、私にはなじみがあり、取り組みやすい。

 もし、こういった企業の勤務の経験がない、公務員で企業のことはわからない、という人がいれば、自分の同級生や親せき、友人のなかから、この人は尊敬できる、すごい人だ、と思う人はいないだろうか?そして、その人の勤務先を投資候補にするのである。私は、同級生や友人本人またはその配偶者や家族の勤務先を知ると、常に投資候補として確認することにしている。信頼できる友人として長年の付き合いがあり、本人又は家族が、人生の一部を賭している勤務先である。かなりの確率でよい投資先の企業である。こうして私が買うに至った株の一例が伊藤忠であった。バフェット銘柄になる前に、私は同級生の勤務先銘柄として買い付けを始めていたのであった。

 そして、あくまで余剰資金の範囲内である。日本の個人投資家の多くが信用取引という借金を用いた取引をしている。信用取引をしないことは武器を半分しか持たないことなのではないだろうか、と思うこともある。

 しかし、私は借金があまり好きではない。多額の借金があると腹痛がする。先を思って憂鬱になる。メンタル的によろしくない。

 投資単位の大きい不動産投資にはある程度の借金は必要なことがあるが、なるべく見通しのつく期間でしか借りないほうがいい。つまり10年から20年ということだ。

 退職金をすべて投資に回すなど、とんでもない話である。資産を3つか4つに分割して、本当になくなっても苦しくない範囲で投資をするのが鉄則である。なぜなら、株式市場や不動産には、必ず、予測していない事態が起き、一時的に投資元本を割る可能性は十分にあり、それを乗り越えることができなければ、リターンは得られないので、その瞬間にゲームオーバーになるような投資、初心者は絶対にしてはいけない。

 よって、投資を始めるなら、身近なところ、余剰資金で行う、という極めて平凡なアドバイスに戻るのだが、これは何度でも立ち返る原理原則なので、迷ったら、基本に戻るということは投資においても覚えておいてほしい。

執筆:黒猫投資家(猫と人間のほんとうの幸せを探求する女性個人投資家)

 

「投資について語るときの愛と追憶」

猫と人間のほんとうの幸せを探求する女性個人投資家が紡ぐ不動産、株、投資信託物語

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ー投資の理由

作成日:2022/07/14
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Allears オールイヤーズ事務局で作成した記事です。