為替 - 先週の動きと今週の見通し(7/19)
1)先週の主な動き(週間レンジ:135.99 -139.38円)
11日 [日本時間]:8日発表された「米 6月雇用統計」の結果を受け 米国の景気後退懸念が 若干 緩和されたこと、10日の参院選で与党が圧勝し 日経平均が上昇したことなどを材料に、リスクオンの円売り(ドル買い) が進行! 137.20円台にのせ、6 月 29 日につけた137.00円 (直近高値) を更新した。その後も 円売り地合いは続き、[米国時間] に137.75円まで上伸。
12日 [欧米時間]:「独7月ZEW景気期待指数 」が ▲53.3 (予想 ▲40.5/前月 ▲28.0)となり 欧州の景気後退が 改めて意識されたこと、米長期金利が低下傾向だったこと、WTI が90 ドル台へ下落したことなど受け 、136 円台半ばまで ドル円は 値を下げた。この日「日米財務相会合」が開催されたが、従来通り「為替市場に関して 緊密に協議し為替の問題について適切に協力する」ことが確認された。 「為替介入や 関連政策」は 協議されなかった模様で、ドル円への影響は 特になかった。
13日[米国時間] :注目の「米6月消費者物価指数」が発表された。予想を上回る 物価上昇を受け「米10年債利回り」の上昇と共にドル買いが進行、137.72円を示現。ドルは 対ユーロでも買われ、ユーロドルは 一時 0.9998ドル、2002年12月以来の パリティ(等価) 割れとなった。その後、カナダ中銀が1.00%の利上げを決定すると、カナダドル円の上昇に連れて ドルも続伸、137.87円をつけた。
14日[日本時間] :7月26-27日FOMCでの「1.0%の利上げ」の織り込みが進む中、円売り(ドル買い) が加速、138円台後半に上昇。[米国時間] には、イタリアの政局不安 や 欧州の景気後退懸念から ユーロ売り(ドル買い)が進行し、再び パリティ割れに。円も連れ安して 一時 139.38円 (週間高値) をつけた。
15日[日本時間]:138円台後半に値を落として推移。[米国時間]、「米6月小売売上高」や「7月ミシガン大学消費者信頼感指数 」が発表されたがドル円への影響は限定的で、NY終値 138.50-60円で越週した。
◇米経済指標
・6月 消費者物価指数(13日発表)
- (総合) 実績 前月比 1.3%、予想 同 1.1%、前回 1.0%
- (総合) 実績 前年比 9.1%、予想 同 8.8%、前回 8.6%
- (コア) 実績 前月比 0.7%、予想 同 0.5%、前回 0.6%
- (コア) 実績 前年比 5.9%、予想 同 5.8%、前回 6.0%
Consumer Price Index - June 2022 (bls.gov)
https://fx.minkabu.jp/indicators/US-CPI
前年比の上昇率が4ヶ月連続で 8%を上回り、約40年ぶりの「高インフレ」が継続。前月比は 1.3%上昇し、2005年9月以来の大幅な伸びとなった。一方、原油価格 や コンテナ船運賃など 足もと低下傾向にあり「6月ピーク」が期待されている。
内訳は ザっと 以下の通り(前年比 / 前月比)。
- 食料品(+10.4% / +1.0%)
- ガソリン代(+59.9% / +11.2%)
- 新車(+11.4% / +0.7%)
- 中古車・トラック(+7.1% / +1.6%)
- 衣服(+5.2% / +0.8%)
- 住居費(+5.6% / +0.6%)
- 航空運賃(+34.1% / ▲1.8%)
ガソリン代の影響が 非常に大きいが、6月に 一時 120ドルを超えていたWTIは、足もと90ドル台後半で推移している。
・6月 小売売上高(15日発表)
実績 前月比 1.0% / 予想 同 0.9% / 前回 ▲0.1%(改定値)
marts_current.pdf (census.gov)
https://fx.minkabu.jp/indicators/US-RS
6,805.91億ドル (季節調整済)となり、2ヶ月ぶりに 前月比で 増加、ただ インフレの影響も大きいと考えられる。
業種別の前月比増減は、以下の通り、( ) 内は 前回の改定値。
- 「自動車・同部品」 0.8% (▲3.0%)
- 「食料品店」 0.4% (1.0%)
- 「ガソリンスタンド」 3.6% (5.6%)
- 「衣料品・服飾雑貨店」▲ 0.4% (▲1.1%)
- 「百貨店」▲ 2.6% (0.9%)
- 「無店舗 (オンラインストア)」 2.2% (▲1.0%)
- 「飲食店」 1.0% (0.9%)
2)今週の注目ポイント
足もと ドル円と「日米金利差」の相関性は やや低下しているが、「各国中銀と日銀の金融政策の方向性の違い」「日本の貿易赤字」などを主因に「円安」が加速している。過度なインフレ や 金融引き締めは 米国経済にとってマイナスであり、今後、FRBの利上げペースが減速するや 日本でもインフレ圧力が高まって「日銀の出口戦略」が意識されるなど考えられるが、そうなる場合ももう暫く時間がかかりそう。「為替介入」の可能も低い。
そのような環境下、20-21日には「日銀金融政策決定会合」が開催される。2022 年度の物価上昇率見通しが「2%台前半」に 引き上げられる見込みだが、11日、黒田総裁は 支店長会議の挨拶で「当面は、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し必要があれば躊躇なく追加緩和を実施すること」を強調した。現行金融政策の据え置きが予想され、そうなればドル買いのサポート材料。1ドルが140円になることも考えらえる。
21日には、ユーロドルがパリティ割れに直面する中「ECB理事会」も開催される。「6月ユーロ圏消費者物価指数」は 前年比8.6%で こちらも 高インフレ。予告通り「0.25%利上げ」に留まるのかが注目される。6月 理事会では「7 月会合の 0.25% 利上げ」と「 9 月会合の追加利上げ」が予告されたが、利上げペースは「緩やかだが 持続的」とし、声明には「中期的なインフレ見通しが 現状維持 若しくは 悪化する場合、9月会合で より大幅な利上げが適切になるだろう」との言及があった。9月会合で大幅な利上げとなれば、円安がさらに進むことが想定される。