株式の基礎知識

 株式は、会社の持ち分です。会社は株式を発行することで、投資家から資金を集めて事業をすることができます。投資家は、会社の事業が成功して利益があがれば、配当や株価上昇という形で投資を回収することができます。

 通常の個人投資家が入手しやすい株式は、証券取引所に上場(公開)している株式です。トヨタやソニーの株式は上場株式です。上場株式は、証券会社を通じて売買することができます。

 株式は、証券取引所で取引できるかどうかで、上場株式と未公開株式にされます。また、発行会社が日本企業か外国企業かで、国内株式と外国株式に分けられます。

1.株主の権利

 株主は、株式を保有することで、次の権利を持っています。

①株主総会に出席し、決議に参加する権利

②配当金などの利益分配を受け取る権利

③会社解散時に、残った会社の資産を分配して受け取る権利

2.株式取引の方法

 株式取引をする場合には、証券会社に口座を開設する必要があります。口座を開設する際には、特定口座も申し込みましょう。特定口座とは、株式の売買損益の申告・納税の手間を簡単にするもので、大変便利です。「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」のどちらかを選んで設定します。

3.株式投資により得られる利益

 株式を購入をした場合、保有する株式の株価が値上がりすれば値上がり益(キャピタルゲイン)を得ることができます。また、会社から配当(インカムゲイン)を受け取れることができます。また、会社によっては株主優待を実施しているところもあり、株主優待を受けることができます。

 もっとも、株価は日々変動することから、購入した時の株価より株価が下がることもあります。また、会社が倒産してしまえば株価はゼロ円となります。

 株価は、会社の業績といった個別要因に影響を受けます。また、それだけではなく、経済全体や業種全体の動きなどの外部要因や、為替や輸出先の経済指標などの影響も受けます。

4.株式の注文方法

 株式の注文方法には「指値注文」と「成行注文」の2通りがあります。

 「指値注文」とは、売買する値段を具体的に指定する注文方法です。指値注文は、買い注文なら指値以下、売り注文なら指値以上の株価にならなければ注文が成立しません。そのため、指値注文では、売買のチャンスを逃す可能性があります。

 「成行注文」とは、銘柄と売買株式数は指定しますが、値段については、いくらでもいいから買いたい・売りたいという注文方法です。成行注文は取引が成立しやすくなりますが、価格についてはコントロールできません。

 また、成行注文の方が、指値注文よりも優先されます。

 指値注文と成行注文では、それぞれメリット・デメリットがあります。売買価格を重視したい場合には指値注文を、取引の成立を重視したい場合には成行注文を使うと良いでしょう。指値注文と成行注文を使いこなせると株式投資の幅が広がります。

 株式の売買が成立した日(約定日)から、約定日を含めて3営業日目に決済(株式の受渡し)がされます。

5.株式等振替制度とは

 昔は、株式については株券という紙の証券が作成されていました。しかし、それでは株券の保管も大変ですし、紛失や盗難、偽造株券を取得するリスクもあります。また、株券の受け渡しなどにも手間がかかります。

 そこで、現在、上場株式については、「社債、株式等の振替に関する法律」により、株券が廃止され、株式の管理は、証券保管振替機構と証券会社などに開設された口座にデータを記録することで行なわれています。

6.特定口座とは

 特定口座とは、金融商品を保有する際に、金融機関(証券会社など)に設けられる口座です。特定口座は1金融機関に1口座のみ開設できます。

 金融商品を購入する場合には、「一般口座(または総合口座)」と「特定口座」のどちらの取り扱いにするかを選択する必要があります。

 一般口座を選択した場合は、金融商品を売却、償還した場合の確定申告について、自分自身で年間の譲渡損益等を計算し、確定申告をすることになります。

 特定口座を選択した場合は、金融機関が、個人投資家に代わって、保有する金融商品の譲渡損益を計算して、確定申告に必要な「年間取引報告書」を作成してくれます。

 さらに、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があり、「源泉徴収あり」を選択すれば確定申告そのものが原則不要となります。一方で、「源泉徴収なし」を選択すれば、自分自身で確定申告を行う必要があります。

 もっとも、「源泉徴収あり」を選択しても、譲渡損失の繰上控除や一般口座、他社の特定口座との損益通算を行う場合は、確定申告が必要となります。

 特定口座を開設しても、申込手数料や口座管理手数料はかからないのが通常です。

7.株式の決済日

 株式の売買が成立した場合、株を買った人は売買代金を支払って株式を受け取り、株を売った人は株式を引き渡して代金を受け取ることになります。これを決済といいます。

 株式の場合、決済は、売買の成立から数日後となります。東証の場合、通常、決済日は、売買日をから3営業日目となります。例えば、月曜日に行われた株式売買の決済日は、その週の水曜日となります。

 上場株式の受渡しは、株式の現物を移転するのではなく、「証券保管振替機構」(ほふり)に設けている口座間の振替(データの受け渡し)によって行われます。

8.株式売買の手数料・費用

 株式売買については、取引が成立した金額に応じて各証券会社の定めた手数料がかかる場合があります。取引が成立しない場合は手数料はかかりません。

 最近は、ネット証券を中心に、株式売買手数料の無料化が進んでいます。もっとも、無料となる1日の取引金額の上限があったり、25歳以下といった年齢制限があったりします。

作成日:2022/06/01
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Allears オールイヤーズ事務局で作成した記事です。
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