金融商品にかかる税金の知識(まとめ記事)

 

 金融商品にどのような税金が課せられるかについては、金融商品から得られた損益についてどの所得に区分されるかを判断し、その区分に応じた課税を考えることになります。

 預貯金の利子、株式の配当金・売却益は、その内容に応じて、利子所得、配当所得、事業所得、雑所得、譲渡所得などに区分されます。

 その区分に基づいて、(1)他の所得と総合して課税されるもの(総合課税)、(2)他の所得と分離して税額を計算し、確定申告により納税するもの(申告分離課税)、(3)支払いのときの源泉徴収だけで課税関係が終了するもの(源泉分離課税)があります。

 主な金融商品の課税関係は原則として以下となります。

  • ・預貯金の利子等:                       20.315%の源泉分離課税
  • ・上場株式等の譲渡益・配当:    20.315%の申告分離課税
  • ・公社債、公募公社債投資信託等の譲渡益・利子:   20.315%の申告分離課税
  •  なお、NISAやiDecoでは、税務上の優遇措置が設けられています(別記事をご覧下さい。)。

1.株式にかかる税金

 株式投資を行ったときに生じる利益としては、①配当金と②譲渡益があります。これらの利益に対しては税金がかかります。

(1)配当金

 上場株式などの配当金は、「配当所得」として20.315%の税率で課税されますが、源泉徴収のみで申告不要です。

 もっとも、確定申告をすることもできます。確定申告する場合は総合課税と申告分離課税が選択できます。

 総合課税の場合には配当控除できます。配当控除率は課税総所得の金額により異なり、所得税については配当所得の10%又は5%、住民税については配当所得の2.8%又は1.4%が算出税額から差し引かれます。課税所得が低い場合には税率が低くなるため、申告分離課税よりも税額が安くなる場合があります。

 申告分離課税を選択した場合、上場株式等の譲渡損失や繰越損失と損益通算できます。そのため、損失が出ている場合には、申告分離課税を選択すると節税できる場合があります。

(2)譲渡益

 売却によって得た上場株式の譲渡益は、申告分離課税として、税率20.315%で課税されます。譲渡損益は、1年間(1月1日から12月31日まで)の上場株式などの売却収入から購入代金や売買手数料などの費用を差し引いて計算します。

 また、上場株式等の譲渡損失や繰越損失と損益通算が可能となっており、損益通算により控除しきれない譲渡損については、3年間の繰越控除をすることができます。

 上場株式等の譲渡損益については、確定申告が原則として必要とされています。

 もっとも、特定口座を開設している場合には、証券会社などから送られる特定口座年間取引報告書によって、簡易に申告を行うことができます。

 また、源泉徴収することを選択した場合には、その特定口座の上場株式等の譲渡による所得は原則として、確定申告は不要です。ただし、他の口座での譲渡損益と相殺する場合や上場株式等に係る譲渡損失を繰越控除する特例の適用を受ける場合には、確定申告をする必要があります。

 2.投資信託の税金

 投資信託では、収益分配金と途中換金あるいは償還時の値上がり益に対して課税されます。税金の取扱いは株式投資信託か公社債投資信託によって異なります。

 株式投資信託(私募は除く)の場合、収益分配金は「配当所得」として課税され、途中換金あるいは償還時の値上がり益は「譲渡所得」として課税されます。いずれも税率は原則は20%(所得税15%、住民税5%)で、2013年から2037年までは、所得税に対し2.1%の復興特別所得税(15%×0.021=0.315%)が課されるため、税率は20.315%となります。

 公社債投資信託の場合、分配金・解約差益・償還差益について、利子所得として20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の源泉分離課税が課されます。2013年から2037年までは、復興特別所得税が課されるため、税率は20.315%となっています。

作成日:2022/06/01
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Allears オールイヤーズ事務局で作成した記事です。
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